美術や演劇など文化芸術分野に携わる女性の半数超が、過去10年の最多年収が200万円未満にとどまるとの調査結果を、美術家や映画監督らでつくる「表現の現場調査団」が24日公表した。男性は半数超が400万円以上で男女の格差が浮き彫りになった。

同団体は女性に非正規雇用やフリーランスが偏る傾向があり、評価や指導をする立場に就く機会が少ないことも影響していると分析。キャリア形成でも不均衡な構造があるとして、労働環境の改善を訴えた。

ハラスメント調査の一環としてインターネットで実施。映画や音楽、建築や伝統芸能など表現活動14分野で活動経験のある712人の回答を分析した。

年収については、趣味ではなく主な仕事としている人が対象で、現在は活動していない人や志望者なども含めた。男性の50.9%が最多年収400万円以上なのに対し、女性の52.7%が200万円未満だった。

表現活動に現在関わる人で、非正規雇用やフリーランスなどの働き方しか経験がない女性は68.6%で、男性を約20ポイント上回った。同団体は「女性は習い事の講師などとして現場を下支えしつつ、低収入にとどめ置かれ、社会的評価からは退けられる『排除と搾取』の構造がある」と指摘した。

ハラスメント被害では、表現活動に関わっていない99人の有効回答と比較した結果、表現活動に関わる人はより被害の経験率が高かった。

被害を受けた場面は、男女ともに「指導やアドバイスをされる状況」が最多で、男性は「作品や表現を批評される状況」、女性は「飲み会など表現活動以外の状況」が目立った。〔共同〕

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