地方住宅供給公社が借り主の合意を得ずに家賃を増額できるかどうかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷(深山卓也裁判長)は24日、公社物件に借地借家法が適用されるとの初判断を示し、一方的値上げはできないとした。借り主側が家賃増額について争うことが可能となる。

借地借家法は適用されないとした二審・東京高裁判決を破棄し、審理を高裁に差し戻した。

借地借家法は、住宅市場の変動などに応じて、貸主と借り主の双方が家賃の適正価格を請求できると規定。協議で合意できない場合は調停や裁判で争えるが、地方公社は「近隣の同種住宅の家賃を上回らないよう定める」としており、借り主の同意なく家賃は変更可能とされてきた。

訴訟は、神奈川県住宅供給公社(横浜市)の賃貸住宅に住む住民ら8人が「適正賃料を超えている」と主張し、過払い分の返還を求めて2020年に提訴した。

21年の一審・横浜地裁判決は、地方公社の家賃は周辺の家賃相場を参考に急な値上げを抑える措置が取られ、一般の賃貸借とは異なるとして、住民側の請求を退けた。22年の二審・東京高裁判決も支持した。〔共同〕

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