沖縄は23日、太平洋戦争末期に国内最大の地上戦となった沖縄戦の犠牲者を追悼する「慰霊の日」を迎えた。79年前、最後の激戦が繰り広げられた糸満市摩文仁の平和祈念公園では、県主催の「沖縄全戦没者追悼式」が開かれ、遺族らが犠牲となった約20万人の冥福を祈り、平和への誓いを新たにした。

追悼式には、玉城デニー知事や遺族らのほか、岸田文雄首相や衆参両院議長らが出席。犠牲者に黙とうをささげ、参列者が献花した。

玉城知事は平和宣言で、複雑化する安全保障環境に「平和的外交、対話による課題解決が求められている」と述べ、「恒久平和の確立に向けて、共に絶え間ない努力を続けていきましょう」と呼び掛けた。

また、広大な米軍基地による「過重な基地負担が今なお続いている」と指摘。基地の整理・縮小と、普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設断念などを求めた上で、政府が進める南西諸島の防衛力強化を念頭に「悲惨な沖縄戦の記憶と相まって、県民は強い不安を抱いている」と訴えた。

岸田首相はあいさつで、「平和の礎に刻まれた戦没者の無念、残された遺族の悲しみや喪失感を思うとき、胸ふさがる思いを禁じ得ない」と話した。「国家戦略として沖縄振興を総合的に進める」とした一方、基地問題については「大きな負担を担っていただいていることを重く受け止め、負担の軽減に全力を尽くす」と述べるにとどめた。

式典では、県立宮古高校3年の仲間友佑さん(18)が平和の詩「これから」を朗読。詩には、世界各地で戦争が続く現状に、平和を祈り続ける決意を込めた。

1945年6月23日は、日本軍の司令官が摩文仁で自決し、組織的戦闘が終結した日とされる。犠牲者の名前を刻む同公園内の「平和の礎」には今年新たに181人の名前が追加され、刻銘者は計24万2225人となった。

沖縄全戦没者追悼式で平和宣言を読み上げる沖縄県の玉城デニー知事=23日午後、沖縄県糸満市の平和祈念公園

沖縄全戦没者追悼式で黙とうをささげる参列者=23日午後、沖縄県糸満市の平和祈念公園

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