能登半島地震で被災し、有料の展覧会ゾーンが休館していた金沢21世紀美術館(金沢市)が22日、半年ぶりに全面再開した。全国に知られる「現代アートの聖地」の復活に、地元では観光客の呼び込みへの期待が高まる。(河野晴気、小室亜希子)

ガラス天井が外され鉄骨が見える展示会場=21日、金沢市の金沢21世紀美術館で

 地震で被害を受けた天井のガラスの撤去が終わり、安全が確保できた。館内の天井には約800枚のガラスがあった。地震では有料ゾーンの約70枚が落下したり、ゆがんだりした。  地震発生の元日は休館中でけが人はいなかったが、ガラスは1枚当たり1.5メートル四方で90キロの重さがある。新たな被害を防ぐため、休館を余儀なくされた。

◆5月の来館者は昨年の7割

 2月6日、安全が確認できた無料ゾーンの一部を再開。5月1日、水中にいるような感覚を味わえる人気作品「スイミング・プール」を地上部分に限って無料開放した。5月の来館者は14万9208人で、昨年の約7割だった。

◆本格的な復旧はこれから

 全面再開に合わせ、企画展「Lines―意識を流れに合わせる」が開かれる。村山卓市長は21日、「観光客らにとっての大きな魅力が復活する。未来のアートを体感してほしい」と、来館者の増加に期待を寄せた。長谷川祐子館長は、有料ゾーンの休館が半年間にわたって続いたことに「この間に使う予定だった人、展示を楽しみにしていた人に残念な経験をさせてしまった。本当に悲しく思っている」と述べた。  美術館によると、天井は当分の間、ガラス板を外して鉄骨などが露出した状態のままとする。2004年10月の開館から20周年にあわせた大規模修繕に向けた実施設計が本年度から2年間で計画されているため、本格的な復旧はこれに合わせて検討する。 

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