世界遺産・仁和寺(京都市右京区)の門前に高級ホテルを建設する計画をめぐり、周辺の住民ら51人が21日、生活環境への悪影響が大きいとして、市に対して建設許可の取り消しを求める訴訟を京都地裁に起こした。
このホテルは、東京都内のホテル運営会社が仁和寺二王門(におうもん)前の約3860平方メートルの敷地で計画。地下1階地上3階建てで、延べ床面積約5800平方メートルの予定だ。
敷地の半分以上は第1種住居地域で、建築基準法で延べ床面積3千平方メートル以上の宿泊施設は原則、建てられない。しかし、京都市は住民との合意形成ができているとして「上質宿泊施設誘致制度」を適用し、昨年3月、高級ホテル計画に特例許可を出した。
訴状などによると、住民らは、周辺道路は狭く、ホテルができると交通量が激増して危険になると指摘。木造住宅が立ち並ぶ閑静な地域なのに、不特定多数の宿泊客が夜間も出入りすることは「住居地域にとって明らかに異質」と批判している。
また、ホテルの敷地は世界遺産保護のため周囲に設けられたバッファーゾーン(緩衝地帯)だとして、「景観利益を含む『住居の環境を害するおそれ』があることは明らかだ」と訴えている。
京都市は「訴状が届いていないので、中身についてはコメントは差し控える。市としては適切な手続きをして許可をしたものと考えている」とした。(茶井祐輝、武井風花)
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