京都・祇園祭の最大の見せ場の一つである山鉾(やまほこ)巡行を楽しめる「プレミアム観覧席」での酒類提供を八坂神社(京都市)の野村明義宮司が疑問視した問題で、京都市観光協会は20日、酒類の提供を取りやめると発表した。これを受けて野村宮司は協会理事を辞任する意向を取り下げた。

記者会見する八坂神社の野村明義宮司(右)と京都市観光協会の担当者(20日、京都市)

20日に八坂神社と共同で記者会見した京都市観光協会の担当者は「八坂神社に趣旨や内容をしっかり説明できておらず、野村宮司の思いを受け取ることができなかった。大いに反省している」と述べた。

協会はプレミアム観覧席で酒類や食事を出さず、熱中症対策として冷たいソフトドリンクを提供する。参加者に向け、早ければ6月中にも見直し内容の詳細を案内する。

野村宮司は「神事にお酒はつきものだが、ショーを見るような振る舞い方はいかがなものか」と指摘した上で「協会と祭りの意義ややり方について話し合いができた。よりよい祇園祭にしていきたいという意見で一致した」と話した。

野村宮司は2023年から観光協会の理事を務めている。2期目の就任が決まった24年6月の定時総会の直前に今年も飲食が提供されることを知ったという。「(八坂神社が)酒席を推奨していると捉えられかねない」と判断し協会側に辞任の意向を伝えていた。

プレミアム観覧席は23年に新設。今年は1席15万円と、山鉾搭乗体験付きの20万円で販売を始め、すでに購入申し込みがあったという。野村宮司は価格設定について「申し上げることはない。購入者が満足するならそれでいいのではないか」と述べた。

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