札幌市が介護保険事業として実施する高齢者配食サービスで、運営事業者が安否確認を怠り、利用者の異変に気づくのが遅れる事案があった。19日、市が発表した。利用者は死亡が確認されたという。

 市介護保険課によると、市には日常的に調理が困難で一人暮らしの高齢者に1日1食、夕食を届け、安否確認をする事業がある。安否確認ができない場合に関係機関などに連絡する運用だ。

 シニアライフクリエイト(東京)が運営する「宅配クック123 南円山店」の配達員が7日に80代女性宅を訪問したところ応答がなかったため、店舗責任者に報告。食事をドアノブにかけて退去するよう指示を受けた。翌8日も、前日の食事がドアノブにかかったままだったが、同様の対応をした。両日とも、関係機関への連絡はしなかったという。

 8日夜、家族が自宅で倒れている女性を発見。女性は医療機関で死亡が確認された。

 市の調査に対し、店舗責任者は「後に家族が訪問するので特段の対応は不要と判断した」と答えた。市は「ふだんのやりとりからの臆測に基づく判断で、不適切な対応だった」として家族に謝罪した。

 市は再発防止策として、同じサービスを実施する全ての事業者に緊急時の業務フローの周知や安否確認の徹底を指示した。シニアライフクリエイトの計4店と契約しているが、継続についても検討していく方針という。(原知恵子)

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