旧優生保護法の下で不妊手術を強制されたのは憲法違反だとして障害者らが国を訴えた訴訟の上告審で、最高裁は17日、大法廷で7月3日にある判決で、聴覚障害のある傍聴人のために配置する手話通訳の費用を裁判所が負担すると明らかにした。最高裁によると、裁判所が手話通訳の費用を払うのは初めてとみられる。

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 この訴訟では、多数の障害者の傍聴希望が予想されたため、最高裁は5月にあった弁論でも、障害者に対する様々な配慮措置を行い、その一つとして傍聴人向けの手話通訳が置かれたが、原告側を支援する障害当事者らの団体が費用を負担していた。

 弁論と判決で対応を変えた理由について、最高裁は「判決で多数の提訴があった一連の訴訟の重要論点の統一判断を示す点などを踏まえ、傍聴人を含む国民に広く伝えるのが相当と判断した」などと説明している。

 また、裁判長が法廷で読み上げる判決の要旨について、同じ内容を法廷内に置くモニターにも投影することも決めた。

 今後は、各地の裁判所で開かれる別の訴訟でも、具体的な事情に応じて裁判官が必要と判断すれば、傍聴人向け手話通訳者の公費負担がされる可能性があるという。(遠藤隆史)

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