JR博多駅前で昨年1月、元交際相手の女性(当時38)を刺殺したとして、殺人罪などに問われた住所不定、無職の寺内進被告(32)の裁判員裁判の初公判が17日、福岡地裁(冨田敦史裁判長)であった。寺内被告は「刺したことは間違いないですが、待ち伏せしたことは違います」と述べ、起訴内容のうちストーカー規制法違反の罪は否認し、そのほかの罪は認めた。

 起訴状によると、寺内被告は同法に基づく禁止命令を福岡県警から受けていたのに、昨年1月16日午後6時過ぎ、福岡市博多区博多駅前2丁目の歩道で、勤務先から帰宅する元交際相手の川野美樹さんを待ち伏せ。川野さんの胸や首などを包丁で多数回突き刺して失血死させたとされる。

 検察側は冒頭陳述で、寺内被告が事件当時、約3分間立ち止まって川野さんを待ち伏せし、川野さんの傘に自分の傘をぶつけるなどした上で、博多駅に向かって約173メートルついて行ったと主張。手提げバッグに入れていた包丁で少なくとも17回突き刺して殺害したと訴えた。

 一方、弁護側は、寺内被告が2022年に傷害事件を起こした直後、自宅を荒らされたため、護身のため包丁を常にバッグに入れていたと主張。滞納していた携帯料金を支払いに駅近くを訪れた際に川野さんと偶然出会い、当時は恋愛や恨みの感情はなかったと訴えた。

 判決は28日に言い渡される予定。寺内被告は3月、分けて審理された傷害事件で有罪判決を受けており、地裁はこれも合わせて量刑を判断する。(上月英興)

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。