高知市の桂浜水族館前でエッセー本をアピールする「おとどちゃん」=2024年5月

 高知市の桂浜水族館のトドをモチーフとした公式キャラクター「おとどちゃん」のエッセー本が人気だ。動物たちに向き合う飼育員の笑いあり涙ありの日常を、おとどちゃん目線で描いた。「みんなで過ごした時間を残したい」との思いを込めている。(共同通信=船田千紗)

 おとどちゃんは2016年に誕生。「I☆(ハート(白)) えさ」と書かれた水色の上着やピンク色の体、大きく開いた口が特徴だ。X(旧ツイッター)の水族館公式アカウントでPR担当もしており、新型コロナウイルス禍には「営業してるのに無観客!」と投稿するなど、そのユニークさで現在のフォロワーは25万人を超える。

 投稿に目を付けた出版社に声をかけられ、おとどちゃんを作者として2021年11月に1冊目、今年3月に2冊目を出版。飼育員が動物たちのエピソードで漫才コンクール「M―1グランプリ」に挑戦したことや、おとどちゃんが幼いカワウソの死を受け入れられず、妹カワウソに姿を重ねて葛藤する話もある。

 販売サイトにはファンから「著者の心情が手に取るように伝わってきて涙が止まりませんでした」と評価の声が多く寄せられた。2冊目の出版を記念して東京都と兵庫県で開催したファンミーティングなどのイベントでは、全国各地から計100人ものファンが集まった。

 水族館の広報森香央理さん(34)は、おとどちゃんの言葉を通して水族館の魅力が全国に伝えられているとして「おとどちゃんのおかげ。今後も館を見守っていきたいと思っているはず」と笑顔で話した。

東京都で開催された「おとどちゃん」のエッセー出版イベントに並ぶファン=2024年5月(桂浜水族館提供)

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