NPO法人「飛んでけ!車いす」の会の事務所で車いすを整備する男性=4月、札幌市

 その車いす、まだまだ使えます―。札幌市のNPO法人「飛んでけ!車いす」の会が3月、市と協定を結び、廃棄予定の車いすのリユースに取り組んでいる。市がごみ排出量の最も少ない政令市を目指す中、年間に捨てられるのは約500台。代表理事照井レナさんは「捨ててしまうのはもったいない。不要な車いすは提供して」と呼びかける。(共同通信=細川航)

 提供希望者は、協定に基づき市がホームページに掲載しているフォームから、車いすの写真や状態などを連絡。同会が使用可能と判断したものを整備した上で、主に災害時の備えとして市内の商店街や町内会に寄贈される。4月末までに7台の提供の申し出があった。

 同会は1998年の発足以降、国内で使われなくなった車いすを発展途上国の障害のある人らに届けている。ただ修理するだけでなく、使う人の生活環境や体の大きさに合わせてオーダーメード。その数は今年4月1日時点で83カ国へ3380台に上る。ロシアによる侵攻が続くウクライナには100台を送った。

 協定は、昨年設立25年を迎えた同会が、新たな取り組みを模索し、市に提案した。これまで国内外の障害者のQOL(生活の質)向上などに取り組んできた同会。照井さんは締結式で「寄贈される車いすを有効活用し、ごみの減量にも貢献する」と言葉に熱を込めた。

 市側の期待も大きい。2027年度までに1人1日当たりのごみ排出量を政令市の中で最も少なくするという目標の実現には、リユース促進が鍵を握るとみる。市によると、21年度は771グラムで、政令市では横浜、京都、川崎の各市に次いで4番目に少なかった。730グラムにできれば、最少になる可能性があるという。担当者は「リユースの大切さを改めて市民に知ってもらうきっかけになってほしい」と話している。

NPO法人「飛んでけ!車いす」の会の事務所で車いすを整備する男性たち=4月、札幌市
札幌市と廃棄予定の車いすのリユースについて協定を結んだNPO法人「飛んでけ!車いす」の会の代表理事照井レナさん(左)=3月、札幌市

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