乗客への声かけによって詐欺被害を防いだタクシー運転手に「詐欺阻止ドライバー証」を交付する取り組みを、相模原北署が始めた。運転席の防犯ガラスに掲示し、乗客に注意喚起するほか、だまされている最中の人に詐欺に気付いてもらう狙い。県警では初の試みという。
詐欺阻止ドライバー第1号は、神奈川都市交通のタクシー運転手岩佐英樹さん(57)。署が5日、感謝状と詐欺阻止ドライバー証を交付した。
5月22日、岩佐さんが乗せた80代の女性は二つの金融機関をはしごし、公衆電話で誰かに連絡を取ろうとしていた。営業所のオペレーターから「詐欺では」と指摘があり、岩佐さんも警戒するように。結局、電話はつながらず、女性は帰宅しようとしたが、「このまま帰したら被害に遭うかも」と女性を説得して交番に送り届けた。女性は、おいをかたる人物から「職場のかばんを紛失し、金が必要」などと言われ、計100万円を引き出していたという。
金成保広署長は「女性は犯人の話を信じ込んでおり、現金を渡す可能性があった」と感謝した。県内では今年、特殊詐欺の阻止が4月末までに508件あったという。
岩佐さんは記者から、これからも乗客へ積極的に声かけしていくか問われ、「あれこれ話しかけるとお客さんに失礼。詐欺と思ったときだけ声かけするよ」と回答。乗客への気配りを通じて、詐欺に目を光らせる。(中嶋周平)
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