証券取引等監視委員会は14日、顧客企業の同意を得ずに内部情報を共有したなどとして、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)傘下の三菱UFJ銀行のほか、三菱UFJモルガン・スタンレー証券とモルガン・スタンレーMUFG証券に対し行政処分を行うよう金融庁に勧告した。同庁は業務改善命令などの処分を検討する。

金融商品取引法は「銀証ファイアウオール規制」として、同一グループ内の銀行と証券会社の間で、取引先企業の非公開情報について顧客の同意なしで共有することを禁止している。

しかし監視委によると、2021~23年にかけて、三菱UFJ銀の顧客企業の株式の売り出しに関する非公開情報が、顧客企業が禁じていたにもかかわらず、証券2社に共有された事案などが少なくとも10件あった。同行の当時の専務執行役員が情報提供し、代表取締役が不適切な情報提供の可能性を認識していた事案もあった。証券2社はこうした情報を営業活動に利用していた。

また三菱UFJ銀は19~23年の間、銀行の有価証券関連業務は禁じられているのに、顧客企業の債券発行に絡み、三菱UFJモルガン・スタンレー証が引受先としてシェアを獲得できるよう働き掛けるなどの違反が、少なくとも28件あった。シェアが得られれば融資条件を優遇するなどの抱き合わせ勧誘もあった。

このほか、同行の行員が、職務上知り得た法人関係の情報を用いて株取引を行うなど、行内での法人情報の管理体制にも不備があると監視委は断じた。

MUFG、三菱UFJ銀、三菱UFJモルガン・スタンレー証の3社は14日、監視委の勧告についてのコメントを発表。顧客などに「ご迷惑、ご心配をかけたことをおわび申し上げる」と陳謝するとともに「再発防止のためのより実効性を高めた方策を策定する」としている。

三菱UFJフィナンシャル・グループの看板=14日午後、東京都千代田区

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