木村弥生前区長=共同

2023年4月の東京都江東区長選を巡る公職選挙法違反事件で、東京地裁は14日、同法違反(買収など)の罪に問われた前区長、木村弥生被告(58)に懲役1年6月、執行猶予5年(求刑懲役1年6月)の有罪判決を言い渡した。鎌倉正和裁判長は選挙運動の報酬として現金を提供したことについて「選挙の公正を害した」などとした。

判決理由で、選挙期間中に有料インターネット広告で投票を呼びかけたことは「資金力の差によらない公正な選挙の実現をめざす公選法の趣旨に反する」と指摘。自身で動画内容などを決めたにもかかわらず、関与を否定した記者会見を開いた経緯を踏まえ「隠蔽工作をしたことも非難される。責任を軽視することはできない」と指弾した。

判決によると、木村前区長は区長選支援の報酬として元区議の板津道也被告(54)=同法違反罪で公判中=に現金100万円を提供した。このほか、柿沢未途元衆院議員(53)=同法違反罪で有罪確定=と共謀し、区長選の期間中に約37万円で有料ネット広告を掲載した。

事件では計9人が立件された。東京高検は先に有罪が確定した柿沢元議員が木村前区長の選挙を取り仕切った「組織的選挙運動管理者」にあたるとして、前区長に連座制の適用を求めた。東京高裁は5月、適用を認めて区長選への立候補を5年間禁じる判決を言い渡した。

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