国鉄型の特急電車が定期運行を終えるJR西日本の特急「やくも」をテーマにした写真集を、鳥取県米子市の今井印刷の出版部門、今井出版が刊行した。初代のキハ181系から最新の273系まで、山陰と山陽を半世紀以上にわたって駆け抜けた歴代車両の雄姿が美しいカットで収められている。

  • ついに定期運行終了! 最後の国鉄型特急電車381系「やくも」

 やくも(出雲市駅―岡山駅)は1972年に運行を始めた。カーブが多い中国山地を高速で走るための車体傾斜装置を備え、4月6日からは新型車両が走り始めた。

 国鉄時代の特急電車が定期運行されているのは全国で「やくも」のみ。だが273系新型車両の導入に伴い、歴代カラーの381系「緑やくも色」は6月14日岡山駅午後4時13分発、「国鉄色やくも」は14日岡山駅午後7時13分発、「ゆったりやくも色」は翌15日岡山駅午前7時5分発、それぞれ定期運行の最終を迎える。

 写真集は今井出版が手掛けている山陰鉄道シリーズの第9弾。これまでは路線ごとの編集がほとんどだったが、今回は新型車両投入に合わせ、特急単独で編集した。

 残雪の大山を背に、沿線の桜や菜の花とともに、猛吹雪の中を――と、四季折々の山陰を走るさまざまな表情のやくもがとらえられている。鳥取県日野町の黒坂駅―根雨駅間で、鏡のように静かな水面に映った7両編成の「逆さやくも」は美しい。

 収録した写真は101点で、趣味で鉄道を撮っている写真愛好者や元駅員らが撮影した。撮影マナーの問題を考慮し、誰でも立ち入りできる場所で撮影した写真だけを集めたという。

 7日に鳥取県庁を訪れて平井伸治知事に写真集を手渡した今井印刷の島秀佳(ひでよし)社長は、「ありがとうの気持ちを込めて作った。この本をきっかけに、やくもで鳥取に遊びにきてほしい」と話した。

 108ページ、税込み2750円。今井書店など山陰の主な書店や東京都、岡山県、広島県の書店、通販サイト「アマゾン」でも扱っている。(清野貴幸)

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