性同一性障害特例法に基づいて男性から性別変更した女性が、手術前に凍結保存した自身の精子を使って女性パートナーとの間にもうけた子どもを認知できるかが争われた訴訟で、最高裁第2小法廷(尾島明裁判長)は17日、上告審弁論を5月31日に開くと決めた。

上告審弁論は結論を変えるのに必要な手続きで、性別変更後に生まれた次女との親子関係を否定した二審・東京高裁判決が見直される可能性がある。生物学上の父が性別変更後に子をもうけた場合、親子関係が成立するかを巡って最高裁が初判断を示す見通し。

一、二審判決などによると、40代の女性は男性だったときに凍結保存していた精子を用いて、2018年に女性パートナーとの間に長女をもうけた。その後、特例法に基づいて法的な性別を変更。20年に次女が生まれた。女性は自身を「父」として自治体に2人の認知届を出したが受理されず、子どもらを原告として認知を求める訴訟を起こした。

22年2月の一審・東京家裁判決は、民法が「父」は男性、「母」は女性を前提としているなどと指摘。女性との親子関係を認めるのは「現行法制度と整合しない」として、請求を全面的に退けた。

これに対して同8月の二審判決は、長女と次女が生まれた時点での女性の法的な性別に着目した。長女には、誕生した当時男性だった女性に「父」として認知を求める権利があると判断。一方、性別変更の審判後に生まれた次女との関係では、父とも母とも認められないと結論付けた。

原告側は次女について上告した。長女に関する判断は確定し、認知届が受理された。

代理人の仲岡しゅん弁護士は弁論期日の指定を受け、「親の性別にかかわらず、子どもの権利が認められるような判決を望む」とコメントした。

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