長野市の山中にある「物見の岩」で訓練に臨む長野県警山岳遭難救助隊の隊員ら(4月)=共同

2023年に全国で発生した山岳遭難は前年から111件増の3126件で、遭難者数は62人増の3568人だったことが13日、警察庁のまとめで分かった。いずれも統計を取り始めた1961年以降、最多となった。最多更新は2年連続で、新型コロナウイルス禍に伴う行動制限が緩和されたことの影響が継続したとみられる。死者・行方不明者は335人、負傷者は1400人だった。

水難事故は46件増の1392件、水難者は27人増の1667人だった。死者・行方不明者は743人で、そのうち中学生以下は27人。死者・行方不明者の発生場所は海が最も多いが、中学生以下に限れば河川が59.3%を占めた。

松村祥史国家公安委員長は13日の定例記者会見で「登山の際には知識、体力、経験に見合った計画を立てていただき、水辺ではライフジャケットを活用することなどに注意を払っていただきたい」と訴えた。

警察庁によると、山岳遭難者数は過去5年間の平均値より16%増だったが、富士山は90%、高尾山は68%、穂高連峰では48%と、大幅に増加。観光地として人気がある山や、都心から近い山に登山客が集中したとみられる。遭難件数の都道府県別では長野が302件で最も多く、東京が214件、北海道が212件で続いた。

遭難者の年齢層別では、60歳以上が全体の約半数を占めた。遭難の態様別では、「道迷い」が33.7%で最多。「滑落」が17.3%、「転倒」が16.9%で続いた。警察庁の担当者は「登山靴や携帯電話などの装備を万全に整え、捜索救助の手がかりとなる登山届を提出してほしい」と呼びかけている。

訪日外国人の遭難件数は100件、遭難者数は145人だった。いずれも統計を始めた18年以降で最多となった。〔共同〕

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