昨年1年間の山岳遭難者は前年比62人増の3568人で、統計の残る1961年以降で最多だった。警察庁が13日に発表した。訪日外国人の遭難者も最多だった。コロナ禍が明け、インバウンドで訪日客が増えたこともあり、山を訪れる人が増えたことが背景にあると警察庁はみている。

 2023年の山岳遭難は前年比111件増の3126件。負傷者数は94人増の1400人で、いずれも最多だった。遭難者数と遭難件数は増加傾向が続き、この30年ほどでいずれも4倍超に増えた。

 18年から統計をとっている訪日外国人の遭難者数は、21、22年はコロナ禍の影響もあり数人だった。23年は145人に増え、うち死者・行方不明者は11人だった。

 遭難者全体を山岳別にみると、前年までの5年間の平均から最も増えたのは富士山で、90%増の97人だった。高尾山が68%増の133人で続き、観光地として有名な山が目立った。

 年代別では、60代以上が全体の半数を占め、最多は70代で790人だった。遭難の原因は「道迷い」が最多で3割超を占め、「滑落」と「転倒」が続いた。

 死者・行方不明者の8割近くが登山届を出していなかった。警察庁は入山前の登山届の提出と、GPS機器の携帯を呼びかけている。

 松村祥史・国家公安委員長は13日の定例会見で「登山の際には知識、体力、経験といった点に見合った計画を立て、十分な装備品を準備することに注意を払ってほしい」と話した。

 また、警察庁は23年の水難者数も発表した。前年比27人増の1667人で、5年連続で増加した。死者・行方不明者は743人で、中学生以下は27人だった。

 死者・行方不明者を事故に遭った場所別にみると、全年齢では海が半数を占め、中学生以下は河川が6割にのぼった。警察庁はライフジャケットの着用などを呼びかけている。(板倉大地)

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