詐欺の被害金を回収するとうたい、他人に自身の弁護士名義を貸して法律事務をさせたとして、警視庁は元衆院議員で弁護士の今野(こんの)智博容疑者(48)=埼玉県深谷市=を弁護士法違反(非弁提携)の疑いで逮捕し、13日発表した。弁護士資格がないのに報酬目的で法律事務をしたとして、29~51歳の男女10人も同法違反(非弁活動)の疑いで逮捕した。認否は明らかにしていない。

 10人は「今野法律事務所」のスタッフを名乗っていたといい、警視庁は今野容疑者らが昨年9月~今年3月、23都府県の計約900人の詐欺被害者から着手金として計約5億円を受け取ったとみて調べている。

 捜査2課によると、10人は東京都内で昨年12月ごろ~今年1月ごろ、SNS型投資詐欺や特殊詐欺などの被害者5人に被害金返還請求のための助言や指導をし、着手金計約280万円を受領。今野容疑者はこの際に、自身の弁護士名義を利用させた疑いがある。5人はいずれも被害金の回収には至らなかったという。

 今野法律事務所のウェブサイトで、「詐欺被害の返金は弁護士にお任せ下さい」「無料相談実施中」などと広告し、電話番号を掲載していたという。サイトを見た被害者が相談すると、無資格の10人が被害金請求手続きの助言をしていたという。

 被害者には、今野容疑者が元衆院議員だと伝えていたといい、警視庁は肩書を悪用して信用度を高めていたとみている。今野容疑者は2012年の衆院選で埼玉11区から自民党公認で立候補し、比例復活で初当選。14年の衆院選でも比例復活で当選したが、17年の衆院選は無所属で立候補して落選した。(福冨旅史、三井新)

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