「日本で働きたい」2年で5.8ポイントの急減
外国人採用の人材会社、マイナビグローバルが2024年1~2月に行った調査によると、日本に住む外国人のうち「在留期間後も日本で働きたい」人は91.0%と22年の調査に比べ5.8ポイント減った。一方、「働きたくない」人はこの2年で1.6%から5.7%に増えた。
外国人労働者数は23年10月末時点で204万人と過去最高を更新したが、日本で働くことへの期待値は減少しており、今後の人材の確保に影響が出る可能性もある。
高い給与求めるベトナム人 交渉物別れも
特に国籍別で最多を占めるベトナム人は、「働きたい」人が2年間で12.1ポイント減り、85.9%になった。ベトナム人労働者は自国の経済発展に伴い給与の要求水準が上昇。人材会社関係者は、円安が進む中で日本企業と契約に至らないケースも目立つようになったと指摘している。
昨年発表の外国人雇用の統計によると、ベトナム人労働者数は前年比12.1%増。コロナ禍の停滞を経て増加傾向にあるが、増加率はコロナ禍前の2019年に比べ半分にとどまっている。
一方、自国と日本の賃金差が依然として大きいインドネシアの人材は「働きたい」が94.4%、ミャンマー人は97.0%と高い水準が続いている。昨年、日本で働くインドネシア人の数は前年比56.0%増、ミャンマー人は49.9%増と高い伸びを示した。
複数回答で聞いた「働きたくない」理由は、「円安」が最多の38.5%。長時間労働などの「働く環境」が30.8%、「母国で家族と住みたい」が25.0%だった。
家族が帯同できる特定技能2号人気
現行制度では、熟練した「特定技能2号」の資格があれば、日本で働く外国人材には配偶者や子の帯同が認められる。取得のハードルが高いものの、希望する人は63.6%と高い数値を示した。
少子高齢化の中で日本人の労働人口の減少は続き、国際協力機構(JICA)の予測では外国人労働者は2040年に42万人不足するという。日本が近く導入する見通しの「育成就労」など新制度も含め、外国人材に「選ばれる国」であり続けるための魅力アップの取り組みも課題になっている。
結果を分析したマイナビグローバルの杠(ゆずりは)元樹社長は「就職先を選ぶ条件として給与水準を挙げる外国人が増えている。円安の影響で日本の労働市場の魅力が低下しているのは明らか。日本で働きたい外国人を増やすためには、家族帯同ができ、実質的に永住に近い権利を得られる特定技能2号の就労者を増やすなど、労働環境の改善を図ることが必要だ」と分析している。
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