伊藤容疑者宅から押収された他人名義の携帯電話やクレジットカード、銀行口座の通帳など=警視庁三田署で

 指定暴力団山口組・旧五菱会系ヤミ金業者の元メンバーらによるヤミ金事件で、個人で別のヤミ金を営んだとして出資法違反(超高金利)などの疑いで再逮捕された元音楽教室主宰の伊藤輝代子容疑者(51)が、返済に窮した顧客に自身の犯行の手伝いをさせていたことが、警視庁生活経済課の調べで分かった。人数は相当数に上るといい、警察の摘発をかいくぐる狙いがあったとみられる。

◆逮捕の女、返済に困った「客」に手伝わせる?

 同課によると、伊藤容疑者は、旧五菱会系ヤミ金業者が顧客情報を集めた「センター」と呼ばれる組織から顧客名簿を入手。多重債務者らに法定金利の3~98倍の利息で金を貸し付けて返済に窮したり、返済能力の低い顧客には「営業用携帯電話のSIMカードを作ったら1回、ジャンプ(支払い先延ばし)させる」「口座をつくる手伝いをしないか」などと持ちかけ、現金の回収や運搬といったさまざまな手伝いをさせていたとみられるという。伊藤容疑者は同法違反などの容疑を「全く分からない」と否認している。

ヤミ金版の与信審査アプリ「casuumo(カスーモ)」の画面。必要事項を入れると、借り入れ希望者のヤミ金利用などの状況が分かる=警視庁提供

 一方、同課の調べで、「ヤミ金版の与信審査アプリ」とも呼べるツールが、旧五菱会系ヤミ金業者の間で使われていることも判明した。著名な不動産サイトをもじった「casuumo(カスーモ)」の名称で月額基本料は5万円。金を借りたいという人の名前や生年月日などを入力すれば、別のヤミ金からどれだけ借りているかなどの「信用情報」が確認でき、焦げ付きなどを防ぐため利用していたとみられるという。 

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