男性から性別を変えた40代女性と、性別変更前に残していた凍結精子を使って生まれた次女との間に、法的な親子関係が認められるかが争われている訴訟の上告審で、最高裁第二小法廷(尾島明裁判長)は17日、5月31日に当事者の意見を聞く弁論を開くと決めた。最高裁の弁論は二審の判断を変えるのに必要な手続き。性別変更後に生まれた次女との親子関係を認めなかった二審・東京高裁の判断が見直される可能性がある。

  • 【用語解説】最高裁での「弁論」とは なんでニュースになるの?

 生物学上の父が、女性に性別変更した後にできた子どもと法的な親子関係が認められるかについて、最高裁が判断を示すのは初めて。

 40代女性は男性として生まれたが、性自認は女性。自身の凍結精子を使い、パートナーの女性が2018年に長女を出産した。40代女性はその後、性同一性障害特例法に基づき、戸籍上の性別を変更。20年に、再び凍結精子で次女が誕生した。

 40代女性と娘2人には法的な親子関係がなかったため、21年に女性が被告となり、娘2人に「父親としての認知」を求めさせる形で、法的な親子関係があると確認するための訴訟を起こした。

高裁の判断は「長女だけ認める」

 一審・東京家裁は、長女、次女ともに請求を棄却した。だが、二審・東京高裁は、長女については、誕生当時は法律的に男性だった40代女性に「父親としての認知を求めることができる権利」が生じていたと指摘。この権利を「(親が性別を変更したという)自己と関係のない事情で失うのは相当ではない」として、親子関係を認めた。一方、性別変更後に生まれた次女にはこうした権利がないとして、一審に続き、親子関係は認められないとした。この高裁判決を不服として、次女が上告していた。(遠藤隆史)

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