東京都国立市で完成を間近に控えながら解体が決まったマンションをめぐり、国立市の永見理夫(かずお)市長は12日に開かれた市議会で、事業者の積水ハウスの対応について「非常に遺憾だ」と述べた。同社に対して今後、住民に対して丁寧な対応を取るよう文書で要請したことも明らかにした。

  • 1カ月で一転「解体」、国立市マンション 積水ハウス「経営判断」

 問題のマンションは「グランドメゾン国立富士見通り」(10階建て、総戸数18戸)。JR国立駅前に伸びる富士見通りからの富士山の眺望を阻害するとして、市民らから懸念の声が上がっていた。

 これに対し積水ハウスは、高さを若干低くするなど対応したうえで、建築計画を進めた。だが、今月4日、市に事業の廃止届を提出。11日には「富士見通りからの眺望を優先するという判断」から、7月に引き渡し予定だったマンションの解体を決めたとするコメントをホームページ(HP)上で公表していた。

 永見市長は12日の市議会で、「突然廃止届を出され、問い合わせてもそれ以上の内容は得られなかった。それなのに突然、HPでコメントが出た」と積水ハウスへの不信感をあらわにした。そのうえで「一義的には事業者が何が課題だったのか、住民に説明すべきだ」と述べた。

 また永見市長は、景観に配慮してマンションの規模を低減するよう求める指導書をこれまでに積水ハウスに交付するなど、「(市として)最大限のことをやってきた」と主張。「周辺住民がどれだけ不安かを踏まえて指導してきたのに、急に(建設が)中止となった。再び解体工事に直面する。その影響は必ずある」と指摘した。(三宅梨紗子、中野浩至)

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