能登半島地震の初動対応を検証してきた関係省庁のチームは10日、政府の復旧・復興支援本部に検証結果を報告した。激震地に進むルートが限られる半島で道路の寸断が多発し、被害の全容把握や救援物資の輸送が難航した。政府は報告を踏まえて今夏にも中央防災会議に作業部会を設け、ドローンなどの技術を生かした「半島防災」の対策を強化する。

能登半島地震は発生時刻が日没に近く、上空から被災状況がつかみにくかった。海に囲まれた半島特有の地形で輸送路が限られるうえ、最大110区間以上で通行止めが発生。政府は被災地の要請を待たずに物資を送る「プッシュ型支援」を実施したが、一部の地域では輸送に長い時間がかかった。

検証チームは限られたルートでの輸送をできるだけ円滑にするため、救援物資を運ぶ計画づくりや実際の運搬作業で民間との連携を強化する必要性を指摘。自治体と物流事業者が事前協定を提携することが有効とした。

新たな技術の活用も広げる。能登半島地震ではドローンによる被災状況の把握や孤立集落への物資輸送を実施した例があった。検証チームは自治体の参考となる事例集をまとめ、時間帯や天候に左右されない高性能なドローンの開発の推進を促した。

今回被害が大きかった地域は高齢化率が高く、避難生活に伴う「災害関連死」の不安が大きい。避難所の環境を整えるため、プライバシーを確保できる間仕切りや段ボールベッドなど避難所の開設段階から用意すべきものを整理し、自治体向けの指針などに反映することを求めた。必要な資機材の準備状況を国が公表することも検討する。

検証チームは内閣府や国土交通省、経済産業省など一定期間、被災地で活動した関係省庁の職員200人以上に聞き取りを実施した。今後、中央防災会議に設置する作業部会で自治体関係者や専門家らと具体的な対策を議論する。

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