インバウンド(訪日外国人旅行者)が右肩上がりを続ける中、地方自治体などの7割が受け入れ態勢の整備に「課題がある」と回答していたことがアンケート調査(複数回答)で分かった。国内旅行に関する調査・研究機関「じゃらんリサーチセンター(JRC)」が、官民連携による観光地経営を推進する「観光地域づくり法人(DMO)」と都道府県に対して調査を実施した。
インバウンドに関する課題として挙げられたのは、多言語対応や混雑緩和策などの「受け入れ態勢整備」が最も多く68.9%。「人手不足」(65.5%)、「誘客プロモーション」(58.2%)が続いた。世界文化遺産の富士山や古都・京都などで問題化している過剰な混雑、相次ぐマナー違反などに代表される「オーバーツーリズム(観光公害)」は11.9%だった。JRCの松本百加里研究員は「コロナ禍からの急激な訪日客の回復に、観光地が追い付いていない現状が浮かび上がっている」と指摘している。
観光地がインバウンド市場のターゲットとしている国、地域は、台湾が最多で78%だった。次いでオーストラリア(51.4%)、米国(49.7%)となった。2023年の調査と比較すると、豪州が順位を上げて米国と入れ替わった。台湾の人々は繰り返し訪日する傾向が強く、大都市以外の地方への周遊が期待できることから、選ばれたとみられる。豪州、米国からの訪日客は、旅行期間が長いことや円安効果もあって、消費金額が大きくなることが観光地にとって魅力になっているようだ。
調査は23年11月~24年2月にインターネットを通じて実施され、177団体から回答を得た。
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