天台宗の寺で14年間にわたって住職に性暴力を受けたとして、四国の50代の尼僧叡敦(えいちょう)さんが住職らの僧籍剥奪(はくだつ)を求めている問題で、叡敦さんが7日、京都市内で記者会見し、第三者委員会による調査を求める上申書を天台宗の宗務総長宛てに出したことを明らかにした。

 叡敦さんによると、3月に天台宗務庁(大津市)の参務2人に聴取を受けた際、「配偶者がいるにもかかわらず配偶者の影が見えない。性被害をうけたのであれば配偶者に相談をするはずである」と持論を押し付けられるなどして、傷ついたという。この日、宗務庁で参務2人と天台宗の顧問弁護士から聴取を受けたが、宗では公平公正な調査ができないとして、上申書では「二次加害ともいうべきものもあり、到底、公正公平な調査をいただけるとは思えませんでした」と訴えた。

 叡敦さんは「宗教界は上下関係が非常に大きい。公正な調査を内部でするのは難しいことかなと感じています」と述べた。

 叡敦さんが宗務庁に告発したのは今年1月。性暴力を加えたとされる住職と、加害行為の手助けをしたとされる大僧正の僧籍剝奪を求めた。告発後、他宗の尼僧から「宗教離れが進んでいるなかで告発するのは迷惑」と言われたという。叡敦さんは「告発したことで二次被害をいくつか受けるようになって、大変残念に感じている。それでも自分のためにも、被害に遭っている人たちのためにも、宗教を広めていくためにも、やめるわけにはいかない」と語った。

 宗務庁の担当者は「今後の調査に影響がでることが考えられ、尼僧を聴取したかも含めて答えられない」と話した。(西崎啓太朗)

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