北海道函館市などで路線バスを運行する函館バスが労働組合「私鉄総連函館バス支部」に所属する乗務員に対し、不当な配置転換や懲戒解雇などを繰り返しているとして、同支部は7日、組合員7人の乗務員への復職を求めて、北海道労働委員会に不当労働行為救済申し立てをした。

 同社の労使紛争をめぐっては、組合員らが社員としての地位確認や損害賠償を求めた訴訟で会社側の敗訴が相次ぎ、函館地裁が社長の自宅と預金の差し押さえ命令を出す事態となっている。

 同支部は救済申立書で、函館バスは労使協議を経ずに組合員7人に対して配置転換や懲戒解雇、雇い止めなどの人事措置を一方的に行ったと指摘。組合員だからという差別的な措置として、労働組合法が禁じる「不利益取り扱い」などの不当労働行為にあたると訴えている。

 また、函館バスでは深刻な乗務員不足が生じているなか、申し立て対象の7人を含む組合員10人以上が乗務員としての勤務を求めているのに、会社が原職復帰を認めていないとも主張している。

 同支部代理人の倉茂尚寛弁護士は「路線廃止、減便、運賃値上げなど地域社会に深刻な影響が生じており、地域公共交通の再確立が急務だ。会社は速やかに違法行為を是正すべきだ」と話す。函館バスは「担当者が不在」としている。(野田一郎)

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