神奈川県大和市議会の厚生常任委員会で7日、同市の小学5年生、荒谷愛架さん(10)が出した請願が全会一致で採択された。学校生活をきっかけに、子どもの意見を反映する仕組みがないと感じた荒谷さん。「こども基本法に基づく市の計画を策定し、その話し合いの場に子どもを入れてほしい」などと訴えた。

 この日の委員会では荒谷さんが意見陳述に立ち、学校のあいさつ運動や集団登校などについて異論を言ってもうやむやになり、「子どもの意見はどこへ行ってしまったのかと感じてきた」と述べた。

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 そして、子どもの権利条約や、日本で昨年4月に施行された「こども基本法」をひきながら、子どもに関わることを決めるときは「子どもの意見を聞いてから、大人が子どもの最善を判断し、理由をフィードバックする。子どもと対話するプロセスが一番大事です」と話した。

 賛成討論に立った中村一夫市議(自民党・新政クラブ)は「市町村こども計画は努力義務だが、ぜひとも策定すべきだ」とし、「請願者の要請は、国の子ども政策と方向性が同じで極めて正当。本市としても子どもの年齢や発達、成熟度に応じてふさわしい子どもの社会活動への参加が確保されるよう、その仕組み作りを要望する」とした。

 珍しい小学生の請願に、多くの傍聴人が席を埋めた。委員会終了後には荒谷さんに駆け寄って頑張りをねぎらった。

 昨晩遅くまで意見陳述や質問に対する回答の練習をしたという荒谷さんは、「全員が賛成してくださってうれしいし、ほかの子どもたちにも子どもの権利や子どもでも請願できることを知ってもらえればうれしい」と笑った。(足立朋子)

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