行方不明になった6歳の女児を保護して警察に引き渡したとして、岐阜南署は4日、済美高校2年の河本壮代さん(16)=岐阜県揖斐川町=に感謝状を贈った。

 女児がいなくなったのは5月8日夕。習い事から母親と一緒に帰宅する途中ではぐれたといい、母親から「娘がいなくなった」と110番通報があった。署では署員総出で捜索を始めた。

 そのころ、河本さんは下校し、所用先に向かっていた。夕闇が迫る午後6時ごろ、岐阜市加納竜興町で、歩道を泣きながら歩く女児に気づいた。

 「どうしたの」。声をかけた。最初は激しく泣き続けていたが、ほどなく泣きやんだ。女児の家を探して一緒に歩いていたところ、捜索中のパトカーを発見。警察官に引き渡した。

 河本さんは保育士を目指して同高の保育科で学び、保育園での実習もしている。「実習では、泣いている子にはその子の目線に合わせて、優しい声で『大丈夫だよ』と声をかけます」。今回も同じ対応をしたことで「安心したんじゃないかと思います」と振り返った。

 最初は「誘拐しているみたいに見られたら、とちょっと怖かった」とも打ち明ける。それでも「泣いているので『困っているんだな』と思って助けました」。

 保育科の先生には「言うほどのことでもないかな」と思って伝えていなかったが、友人に教えると「いいことしたやん、と言われました」とはにかんだ。

 同署によると、幼児・児童が行方不明になった場合に警察は、最悪のケースまで想定して署員総動員で早期発見を目指すという。感謝状を贈った実城晋吾署長は「困っている人を助けるという精神を実際に行動に移すには勇気がいる。思いやりや優しさの気持ちを躊躇(ちゅうちょ)なく行動に移した河本さんに敬意と深い感謝を申し上げたい」と話した。(高原敦)

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