静岡県の鈴木康友知事は5日、県庁でJR東海の丹羽俊介社長と面会し、リニア中央新幹線静岡工区の着工問題について意見交換した。鈴木氏は面会後、「重要なプロジェクトだと認識しているし、推進をしていく必要がある」と丹羽氏に話したことを明らかにした。記者団の取材に答えた。

両者の面会は、鈴木氏が5月の知事選で当選、就任してから初めて。

丹羽氏も記者団の取材に応じ「地域の皆さまのご理解、ご協力を頂けるよう双方向のコミュニケーションを大切に真摯(しんし)に取り組む」と語った。

5月に辞職した川勝平太前知事は、トンネル工事による大井川の水量減少や自然環境への悪影響に懸念を示し、着工を認めてこなかった。鈴木氏は5日の面会で「大井川の水資源の確保と、南アルプスの生態系保全の両立を図る方向性は堅持していく。対応をお願いしたい」と丹羽氏に要請。リニアの推進では課題解決との両立が前提になるとの立場を強調した。

JR東海は今年3月、リニア中央新幹線で目標としていた品川―名古屋間の2027年開業を断念した。開業は34年以降にずれ込む公算が大きい。

丹羽氏はまた、リニア工事で岐阜県瑞浪市の井戸などの水位が低下している問題について、大井川の流域自治体などでつくる協議会で説明する考えを示した。(了)

鈴木康友静岡県知事(左)と面会する丹羽俊介JR東海社長=5日午後、静岡県庁(代表撮影)

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