職務上知り得た秘密を退職後に漏らしたとして、国家公務員法(守秘義務)違反の疑いで逮捕、送検された鹿児島県警の前生活安全部長、本田尚志容疑者(60)の勾留理由開示手続きが5日、鹿児島簡裁であった。記者への情報提供を認め「野川明輝本部長が県警職員の犯罪行為を隠蔽しようとしたことが許せなかった」と動機を説明した。

昨年12月に発生した枕崎署の巡査部長によるトイレ盗撮事件が本部長指揮の捜査となった際、野川本部長が「最後のチャンスをやろう」「泳がせよう」と話し、本部長指揮の印鑑を押さなかったと主張。「自己保身を図る組織に絶望した」と語った。

この事件で巡査部長は捜査車両を使っていたとした。また、別の警察官が市民から提供された情報をまとめた巡回連絡簿を悪用し、犯罪行為に及んだとも主張した。

いずれも今年3月の定年退職の時期になっても公表されず「記事にしてくれることで、不祥事が明らかになる」と考え、文書にまとめ記者に送ったとしている。

県警は5月13日、性的姿態撮影処罰法違反の疑いで枕崎署の巡査部長を逮捕した。巡回連絡簿の件については説明していない。森満雅哉・警務部管理官は5日、「現在捜査中の事件に関し、被疑者の供述内容についてコメントは差し控える」とした。

本田容疑者の弁護人の永里桂太郎弁護士は意見陳述で、本田容疑者が明らかにしようとしたのは警察官の犯罪行為を隠蔽しようとしたことであり「他に知られていないことについて相当の利益を有するものとは言えない」として守秘義務違反罪には当たらないと指摘。「正義心から今回の事件を起こした。非難されるべきは隠蔽しようとした組織の方だ」と、釈放を求めた。

野川氏は2022年10月、鹿児島県警本部長に就任した。〔共同〕

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