コンサートやスポーツ観戦などのチケットの売買仲介サイト「チケジャム」で、不正ログインされた会員が勝手にチケットを購入されたり、取引代金を引き出されたりしていたことが分かった。警視庁に複数の被害相談が寄せられている。  チケジャムは、チケットを売りたい人と買いたい人をつなぐサイト。代金はチケット購入者から運営側が預かり、チケットが購入者に届くと、出品者に渡る。

チケジャムから「買い手のアカウントで不正利用が確認された」とのメッセージが届いた、出品者の男性のスマホ画面=一部画像処理

 チケジャムの運営会社は4日にホームページで、多くの会員から身に覚えのない購入や代金引き出しの報告があると報告。「チケジャムのサービス以外から不正にログイン情報を入手し、アカウントが利用されていることを確認した」とし、不正ログインが疑われた場合は、購入や引き出しを停止するとした。同社の担当者は「今はメールの二段階認証を導入してセキュリティーを上げ、ほぼ解決に向かっている」と話した。

◆運営会社が警戒呼びかけていたが…

 捜査関係者によると、警視庁にもチケジャムを巡り「アカウントが不正アクセスで乗っ取られた」「会員登録したクレジットカードが使用され、知らないうちに購入されていた」などの被害相談が複数あった。  運営会社は昨年6月にも、チケジャムを装った不審なメールやショートメッセージによるフィッシング詐欺への警戒を呼びかけ。クレジットカード情報などの入力を促す偽メールが送られてくるケースがあると周知していた。  同様の不正アクセスは大手サイト「チケット流通センター」でも確認され、ホームページで注意を呼びかけている。(小倉貞俊)   ◇  ◇

◆買ったはずの相手から「買った覚えがない」

 「まさか自分が巻き込まれるなんて…」。名古屋市西区の50代男性は驚きを隠さない。3月下旬、チケットを購入していたプロ野球の試合に仕事で行けなくなり、チケジャムに出品。すぐに売買が成立したが直後、買ったはずの相手から「買った覚えがない。(不正ログインで)知らない間に買われていたようだ」とのメッセージを受け取った。

スマートフォンを操作する男性

 男性には、運営会社を通じ売上金が支払われた。ところがチケットはコンビニで何者かに発券され、持ち去られた後だった。不正利用された相手には運営会社から、チケット代が返金されたとみられるという。  男性は3年前からチケジャムをたびたび利用し、「便利だと思っていた」という。今回の被害を受け、取材にこう語った。「不正ログイン被害に遭った人が泣き寝入りしないよう、運営会社はしっかり注意喚起や対応をしてほしい」 

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