1992年に福岡県飯塚市の小学1年の女児2人が殺害された「飯塚事件」で死刑が確定し、執行された久間三千年元死刑囚=執行時(70)=の第2次再審請求審で、福岡地裁(鈴嶋晋一裁判長)は5日、請求を棄却した。弁護側は即時抗告する方針。

死刑執行後に再審開始を認める決定が出ていれば初めてだった。2次請求審で弁護側は、元死刑囚の関与を否定する新たな目撃証言などが新証拠に当たると主張していたが、地裁は「証言は信用できない」と結論付けた。

弁護側は、事件当日の朝に登校中の女児2人が連れ去られたとされる飯塚市の現場で2人を見たと話した女性が「見たのは別の日」と証言を翻したと主張。女性は記憶と異なる調書を捜査機関に作成されたと訴えた。また、遺体の遺棄時間と近い時間帯に飯塚市内のバイパスで、車に女児2人を乗せて走る男を見たとの男性の証言も提出していた。

鈴嶋裁判長は決定で、「女性の調書が作成されたのは事件の捜査が流動的な状況にあった時で、捜査機関が女性の記憶に反する調書を作成する動機、必要性は見いだせない」と指摘。男性の証言については、「面識のない女児2人の顔をはっきり覚えているという供述内容自体、不自然な感が否めない」などとして退けた。

元死刑囚は無罪を主張したが、DNA型鑑定や目撃証言などに基づき死刑が確定。執行後の2009年に起こされた1次再審請求審では、鑑定が再審無罪となった「足利事件」と同じ時期、手法で行われたことから、信用性が主な争点となった。

福岡地裁で飯塚事件の再審請求が棄却され、「不当決定」の紙を掲げる支援者ら=5日午前、福岡市中央区

飯塚事件の第2次再審請求審で福岡地裁に入る弁護士ら=5日午前、福岡市中央区

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