仙台市の電子部品メーカーの工場で2020年、設備を修理中だった社員2人が窒息死した事故で、当時作業を指示し、業務上過失致死の罪に問われた50代の男性被告について、仙台地裁は16日、無罪(求刑罰金60万円)を言い渡した。
事故は20年7月に発生。仙台市太白区の「トーキン」仙台事業所の工場で、金属の粉を焼き固める炉(深さ約3・7メートル)を修理していた男性社員2人が酸素欠乏で窒息死した。男性は注意義務を怠ったとして、仙台地検が起訴していた。
この日の判決で、宮田祥次裁判長は「注意を負うべき立場にあったものの、指揮したり命令したりする権限はなかった」と指摘。事故について「予見できたと認定するには合理的な疑いが残る」と結論づけた。
判決後、取材に応じた男性は「亡くなった2人に本当に申し訳ない気持ちしかない」と話した。地検の平野達也次席検事は「判決内容を精査し、適切に対応したい」とコメントした。(阿部育子)
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