最高裁判所
労働時間算定が困難な場合に一定時間働いたとみなす「事業場外みなし労働時間制」の適用は不当だとして、外国人技能実習生の指導員だった女性(41)が元勤務先に残業代の支払いを求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷(今崎幸彦裁判長)は16日、適用を否定して女性の訴えを一部認めた二審福岡高裁判決を破棄し、審理を差し戻した。 高裁は、女性の業務日報を根拠に「労働時間を算定し難いとき」に該当しないと判断し、適用できないとしたが、今崎裁判長は日報などの記録に加え、内容に関する客観的な裏付けが重要だとして、日報のみを重視した二審判決は違法だと結論付けた。 一、二審判決によると、女性はフィリピン出身で熊本市在住。日本国籍を取得し、2016~18年、監理団体に指導員として勤務。 第3小法廷は、女性の業務は実習生の生活指導や急なトラブル時の通訳など多岐にわたり、自らスケジュールを管理して直行直帰するなど一定の裁量があったと指摘。女性が提出していた業務日報について、内容の正確性が客観的に担保されていたと評価できないとした。
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