佐賀県玄海町議会は3日、本会議を開き、上田利治議長(72)=7期=から出されていた辞職願を許可し、新議長に井上正旦議員(69)=3期=を選んだ。

 玄海町議会は定数10。全国では、1~2年で議長が交代する地方議会が多いなか、同町議会では議長が10年前後務め、町政にも深く関わるのが特徴だ。地元の九州電力玄海原発の誘致を町議会が主導したという経緯もある。

  • 核ごみ調査「手挙げたくなかった」 議会に逆らわなかった町長の本音

 上田議長は、14年8カ月にわたり議長を務めた実力者の岩下孝嗣議員(74)=8期目=の後をつぎ、2013年9月に就任。10年8カ月に及んだ議長在任中には県内初の通年議会制を導入するなど議会改革に乗り出し、推進の立場をとる原子力政策では東京電力福島第一原発事故で止まっていた玄海原発の再稼働をすすめた。

 今年4月の本会議では原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定に向けた文献調査を求める請願3件を賛成多数で採択。当初は昨秋に退任する予定だったが、請願への動きがあり、区切りをつけての退任となった。

 上田議長は議場での退任あいさつで、脇山伸太郎町長に対し、「5月10日に文献調査の受け入れを表明したが、記者会見の対応については責任ある立場としての言動に心がけてほしい」と異例の要請をした。脇山町長は、先月の日本記者クラブのオンライン会見で、「本当は文献調査に手を挙げたくはなかった。議会とあつれきができると私のまちづくりにも支障が出る」などと発言しており、受け入れ判断に議会側の圧力があったともとれる言動に不快感を示した形だ。

 井上新議長は「町長は調査受け入れを表明したが、町民はいまだ詳しい説明を欲している。議会と行政は町民の要望に真摯(しんし)にこたえていかなければならない」とあいさつした。(森田博志)

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。