子どもの頃から憧れてきた「フラガール」になる夢をつかんだ。塚田夢乃さん(18)は、この4月に福島県いわき市にあるスパリゾートハワイアンズの運営会社「常磐興産」に入社。夏のデビューに向け、同社のダンサー養成所「常磐音楽舞踊学院」で同期4人とともにレッスン漬けの日々だ。
茨城県桜川市の出身。フラダンスを知ったのは、4歳のとき。母の紀代美さんが実家で営む美容院の常連客から紹介され、栃木県真岡市にあるフラのダンススクールの体験教室に参加した。優雅で時に激しい振り付けや音楽の魅力に強くひかれた。スクールまで車で片道20分の道のりを月2回、母に送り迎えしてもらい、高校3年生の12月まで通い続けた。
目標とするダンサー像が自身の中に芽生えたのは小学4年生のとき。家族とともに福島を訪れ、ハワイアンズで開かれたイベントに参加した際、一人のダンサーの踊りに目が離せなくなった。
当時、ショーのクライマックスで踊るソロダンサーとして活躍し、チームのキャプテンも務めていたモアナ梨江(本名=猪狩梨江)さんだった。
モアナさんは、福島第一原発がある双葉町の出身。2011年の原発事故後にハワイアンズが取り組んだ、福島から各地に避難した人たちへの慰問や、支援への感謝を込めた公演の中心ダンサーだった。
「見た人に『笑顔になって欲しい』、『感謝を届けたい』という思いが、踊る身体のすみずみから伝わってきた。自分もいつかこんな踊りができるようになりたい」。モアナさんの踊りを見て、塚田さんはそう思ったという。
中学、高校時代は、茨城県内の学校に通いつつ、放課後は部活動には入らず、ダンススクールのレッスンを週2回に増やしたり、自宅でもベランダを使って毎日2時間自主練習したりするなど、腕を磨いた。
ダンサーとして外国語も磨こうと、高校在学中に英検2級も取得した。昨年9月、約8倍の難関をくぐり抜けてハワイアンズのダンサー試験に合格した。
初舞台に向けて養成所といわき市内にある社員寮を行き来する。レッスンは毎日6時間。ダンスの技量を上げるため、フラだけでなく、バレエやジャズなど他のジャンルの踊りも学んでいる。レッスン前後の練習場の清掃も新人の仕事だ。
同期4人は塚田さんと同学年だ。夜、社員寮の部屋に5人で集まり、夕食を持ち寄って食べるのが一番の息抜きだという。「(レッスンも生活も)慣れなくて難しく感じることもある。でも誰一人欠けることなく同期そろってデビューしたい」
夢の舞台に立つまで、あと少し。「どんな時も笑顔で輝き、お客様に明日への希望をお届けできる、憧れた先輩たちのようなフラガールになりたい」(古庄暢)
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。