ロシア革命後の戦乱で親を失い、シベリアに残されたポーランド人孤児を日本国内で受け入れた社会福祉法人「福田(ふくでん)会」(東京都渋谷区)が、受け入れから約100年を記念した陶板のレリーフを製作し、5月31日に除幕式があった。同会の太田孝昭理事長は「100年前に思いをはせ、日本とポーランドの友好の礎にしてほしい」と願いを込めた。  レリーフは高さ約3メートル、幅約5メートルの陶板。1920年ごろ、福田会が運営していた孤児院の周辺とみられる場所で、くつろぐポーランド人孤児らが収められた写真が引き伸ばして印刷されている。

ポーランド人孤児らの様子を伝えるレリーフの除幕式=5月31日、東京都渋谷区で

 除幕式には、ポーランドのほか、米国、英国、カナダ、オーストラリアに在住する孤児の子孫16家族38人などが参加した。孤児の娘アンナ・ドマラツカさんは「子孫は今、何千人もポーランド国内外で生活している。先祖に与えられた支援がなければ、現在の生活は実現しなかった」と感謝の言葉を述べた。  ポーランドはロシア革命後の1918年に独立したが、革命に伴う内戦の混乱でシベリアに残されたポーランド人は故郷に戻れず、親を失って飢えや寒さに苦しむ子どもが多かった。日赤は1920年、シベリア出兵中だった陸軍とともに孤児375人をウラジオストクから福井県敦賀市へ船で移送。その後、全員が東京の福田会に約2カ月滞在し、米国経由で祖国へ帰還した。  福田会によると、2010年に当時のポーランド駐日大使がジョギング中に福田会の看板を発見し、会に連絡したことで交流が始まった。  式典に参加した敦賀市の米沢光治市長は取材に「陶板に描かれたのは敦賀に降り立った子どもたちで、東京でもつながりを感じられてうれしい」と述べ、「これまでの歴史を大事にしながら、これからの100年に結びつけたい。敦賀でも市民レベルで交流を続けていけたら」と語った。(山口登史) 

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