医師不足に悩む鹿児島県志布志市や大崎町が小児科医や内科医を求めている。開業の資金としてそれぞれ最大1億円の支援を打ち出した。
2023年度、志布志市にあった二つの小児科医院が医師の高齢化などで閉鎖となり、小児科医がゼロになった。隣り合った両市町の地域住民はより遠くの鹿屋市や宮崎県都城市にある小児科に通わざるをえなくなった。対象となる中学生以下の人は志布志市で約3800人(3月末現在)、大崎町で約1400人(4月末現在)いるという。
志布志市が求めているのは小児科医、大崎町は小児科医と内科医。大崎町に小児科医はおらず、これまで志布志市の小児科を頼りにしていた。
大崎町内に3カ所ある診療所の医師も65歳以上で、近い将来の医師不足を見越して内科医院も誘致の対象にしている。
いずれも4月から募集を開始。両市町で情報を共有しながら進めてきたが、今回の補助制度はそれぞれ独自でスタートさせた。
いずれも10年以上の診療・開業見込みが支援の条件。志布志市の場合、土地建物や医療機器の取得に関する経費を9千万円まで、開業後の事業運営の経費として2年間計1千万円を補助する。
大崎町では、上限を1億円とし、土地取得費、建物建設(改修)費、医療機器購入費について経費の3分の2を補助するほか、土地・建物などの賃借料を月額上限50万円(開設5年以内)、固定資産税額を年間上限100万円(同)まで補助する。医師確保事業への支援を求めるふるさと納税型のクラウドファンディングも始めた。
大崎町の担当者は「急激な小児科不足で住民は困っている。開業医を確保したい」と話している。現在、開業に向けた具体的な問い合わせが来ているといい、誘致実現に期待している。
両市町によると、補助金による開業医の誘致は県内では初めて。北海道で数多く行われているが1億円は多額だという。(仙崎信一)
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