石川県輪島市の仮設住宅で孤独死とみられる事案が確認されたことを受け、県は31日、希望があれば1人での仮設暮らしが見込まれる高齢者らと別市町の仮設に入居する家族との同居を認めるよう、関係市町に依頼する文書を出した。

 能登半島地震の被災者向けに建てられた輪島市門前町の仮設住宅で5月20日、1人で暮らす70代女性が亡くなっているのが見つかった。

 県は31日付の文書で、別市町の家族との同居など、被災者の個々の実情に応じた柔軟な対応を市町に依頼した。今回の女性の部屋は内側からのみ開けられる内鍵がかかっていたといい、今後は原則、内鍵を設置せず、設置済みの住宅も希望があれば撤去するとした。また、入居者の孤立防止のため、仮設住宅団地内での自治組織の立ち上げ支援なども市町に求めた。

 地震の被害が大きかった七尾市の都市建築課によると、仮設住宅の入居にあたっては、抽選時に申告した人数以上の受け入れは難しく、出産で子どもが増えたといったケースのみ増員を認めているという。ただ、七尾市にも「体調が悪化した一人暮らしの高齢者を支えるために同居したい」といった声も寄せられているという。担当者は「県の依頼は非常にタイムリーな決定でありがたい」と話した。

 馳浩知事は「被災者の立場に立って、できることは何でもする、やれることはすぐする。誰一人取り残すことないようにする」と話した。

 仮設住宅は31日時点で県内に6603戸の要望があり、6395戸が着工し、4443戸が完成した。県が5月末に目標としていた約4500戸の完成目標(要望数の7割程度)には届いていないが、入居者は増え、見守りの重要性が増している。県建築住宅課の担当者は、仮設の完成数が目標に届いていない点について「判断は住民に委ねたいが、おおむね7割という意味では県として達成した理解だ」とした。(土井良典)

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