奈良県庁で働く女性の29・4%が「職場でのお茶出しや雑用は女性がするべきだとの職場風土がある」と答えたのに対し、男性は9・3%のみ――。そんな意識調査の結果が、県庁の会議で明かされた。ジェンダーギャップ解消に向け、山下真知事は管理職を志す女性を増やすための環境の整備に意欲を見せた。

 会議は27日に開かれた「県こども・子育て推進本部会議」。策定中の「こどもまんなか未来戦略」がジェンダーギャップの解消を掲げることから、県庁の現状を把握するための調査を3月に初めて実施。会計年度任用職員など非正規も含む1431人が回答した(回答率31・8%)。

 「公用車出張の際、男性が運転するものだという雰囲気があるか」との問いは、男性の28・2%が「ある」としたのに対し、女性は8・8%にとどまった。

 このほか、男女間格差の有無について、「女性の管理職が少数でロールモデルが少ない」「有能な女性がいるのに女性管理職の割合が低いと感じる」といった選択肢を並べたところ、全体の約3割が「特に感じない」を選んだ。

 県こども・女性課の担当者は「男女の受け止めの違いや無意識の偏見、無関心層の存在など、県庁の現在地がわかった。女性には負担だろうからなどと、『配慮』という名目で上司が女性に経験を積ませることから遠ざけている面もある」と語る。

 今年度、県の女性管理職(課長補佐級以上)の割合は2割を超えたが、この日の会議の出席者は部局長など幹部級19人のうち、女性は1人だけ。山下知事は「女性が管理職になりづらい状況がわかってきた。議会答弁の作成で夜遅くなり、負担が大きい。質問通告の期限を前倒しするなど、管理職を志しにくくする阻害要因を積極的に解消したい」と話した。

 報告された調査結果は一部だけだったため、山下知事は「意識改革につながれば」と、詳細な内容を広く共有することを求めた。

 県は「ジェンダー平等推進プロジェクトチーム」を立ち上げ、県庁だけでなく市町村や教育委員会、県内企業でジェンダーギャップの実態把握と解消に向けた取り組みを進めていくという。(机美鈴)

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 少子高齢化に伴う課題が表面化する「2030年問題」。その対策として、若い人に選ばれる地域と職場づくりに取り組む奈良県は、ジェンダーギャップ解消をテーマにしたセミナーを6月4日に奈良市内で開く。

 ジェンダー平等推進の立場から県こども・子育て推進アドバイザーを務める小安美和さんが「2030年を乗り越える!~企業も、地域も、持続可能にするために~」とのタイトルで講演する。

 企業経営者や管理職、自治体の幹部職員などを主な対象とするが、一般の参加も可能。

 午後1時半~3時半、奈良市登大路町の奈良公園バスターミナル・レクチャーホール。QRコードから申し込む。問い合わせは県こども・女性課(0742・27・8679)へ。(机美鈴)

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