千葉県山武市が叙勲受章者に渡す予定だった「勲章」と証書の「勲記」を紛失していたことが分かった。勲章は再交付したが、勲記は再発行できず、代わりに発行した「有勲証明書」を届けて謝罪した。市は職員の処分を検討している。

 市教育委員会によると、受章者は昨年8月1日付で教育功労による高齢者叙勲「瑞宝双光章」の授与が発表された元公立小中学校長(当時88)。受章から約半年後の今年3月に亡くなった直後、葬儀で勲章と勲記を飾りたいと考えた遺族が市に問い合わせて発覚した。

 市教委は勲章と勲記を昨年9月に県から受け取り、市教委内の金庫に保管。同9~10月に複数回、家族に連絡したり自宅を訪問したりしたが、会えなかった。教育総務課の前課長が勲章と勲記を持ち出したが、持ち帰った記録がないという。

 市は3月、県警山武署に遺失届を提出した。紛失した勲記には日本国の印「国璽(こくじ)」が使われ、再発行できない。4月に松下浩明市長らが遺族宅を訪れ、謝罪とともに有勲証明書を手渡した。勲章は市が費用をだして再交付し、今月28日、内田淳一教育長らが届けた。市教委は前課長や担当者の処分を検討している。「絶対にあってはならないことで誠に遺憾。ご遺族や関係者におわび申し上げ、事務の適正化に取り組む」とコメントした。(竹中美貴)

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