埼玉県越生町ではおよそ100戸の梅農家が毎年合わせて200トンを生産する県内一の梅の産地です。

5月下旬からは主力品種の白加賀などが収穫時期を迎えていますが、町などによりますと受粉を十分できなかったことなどが影響し生産量は例年よりおよそ7割も減る見込みで、「まれにみる不作だ」としています。

町内の直売所は梅の販売コーナーを例年より縮小し、価格は「白加賀」だといつもの年より3割ほど高い1キロ当たりおよそ1000円で販売しています。

町は6月9日に直売などを行う恒例の「梅フェア」を開催予定でしたが、十分な量を確保できないとして中止を決めました。

直売所を訪れていた70代の男性は「梅干しを作るために買いに来ました。不作でイベントも中止になると聞くとやっぱりさみしいです」と話していました。

梅生産の技術指導を行う埼玉県川越農林振興センターの関口雄二 主任は「実をつける木と受粉に必要な別の品種の木の開花時期がずれたことや、天候不順で花粉を運ぶミツバチの働きが鈍ったことが理由として考えられるが、はっきりとした原因はわかっていない。生産者とともに今後の原因と対策を調査していきたい」と話していました。

農家「例年の10~20%ほどしか収穫できない」

埼玉県越生町の農家、横田邦夫さん(75)はおよそ50年にわたって梅を栽培していますが、ここまで収穫量が少ないのは初めだといいます。

常連客にはことしは注文に応じられないと伝えることもあるということです。

横田さんは「梅の花が咲くころには本来、ミツバチの羽音がうるさいほど聞こえてきますが、ことしは天気がよくても羽音が聞こえず、十分受粉していないかもしれないという感覚はありました。例年の10%か20%ほどしか収穫できない思います」と話していました。

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