新1万円札の顔となる埼玉県深谷市の偉人・渋沢栄一は、500を超す企業の設立に関わったとされ、現存する企業も多い。そうした企業を紹介しながら「近代日本経済の父・渋沢」を知ってもらいたい。地元の埼玉工業大学の教員と学生が、百人一首ならぬ「百社一首」を企画・制作した。そのお披露目が27日、市役所であった。

 百社一首づくりの中心を担ったのは同大学人間社会学部情報社会学科の本吉裕之准教授の研究室。きっかけは昨年6月、本吉先生が地域の活性化事業にともに取り組む深谷商店街連合会の総会でかけられた小島進市長の一言だった。「栄一翁の面白い商品を作ってほしい」

 昨年、当時3年のゼミ生11人が電話やメールで現存する200近い企業に協力を依頼し、66社が賛同してくれた。学生たちは冬休みを使って会社の成り立ちや理念などを調べ、渋沢との関わりを表現した読み札を作成した。

 たとえば太平洋セメント(旧・秩父セメント)。読み札は「渋沢の 想いを受けた セメントで つくる新しい 日本の姿」といった具合だ。

 取り札には社名とロゴをあしらった。札を収める箱は渋沢が著した「論語と算盤(そろばん)」(昭和3年版)の外箱の雰囲気を出し、「百社一首」の文字は市内にある渋沢栄一記念館が所蔵する渋沢の書簡から抽出した。本吉准教授は「百社一首が新たな人と人とのつながりを生むきっかけになれば。ルールを決めて大会も開きたい」と話す。

 1セット2750円(税込み)。初版は2千セット。ネット予約は6月17日、発売は同30日から。詳しくは、たつみ印刷のホームページ(https://www.tatsumi-insatsu.co.jp/)で。(猪瀬明博)

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