【ストレーザ(イタリア北部)時事】先進7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議は25日、2日間の討議を終え、共同声明を採択して閉幕した。声明は中国による電気自動車(EV)などの過剰生産に「懸念」を表明。世界経済の強化へ、不公正貿易など「有害な慣行」に連携して対応する姿勢を示した。為替に関しては過度の変動が経済に悪影響を与え得るとの合意を改めて確認した。

また、ロシアの凍結資産活用では、利子収入によるウクライナ支援資金の確保の検討で「前進している」と強調。6月のG7首脳会議(サミット)に向け選択肢を示せるよう協議を続ける。

日本からは鈴木俊一財務相と植田和男日銀総裁が出席。鈴木氏は会議終了後の記者会見で、日本は国際法に違反しているロシアのウクライナ侵攻を非難しているとし、「凍結資産の活用も国際法上、整合する形で進めなければならない」との認識を示した。

巨額の補助金で、中国が脱炭素関連製品などを過剰生産し安価に輸出している問題では、各国の雇用や産業に悪影響を与えるとして、中国の非市場的な政策に懸念を表明。強い言葉で不公正な貿易慣行の是正と供給網の強化へG7が協調する姿勢を打ち出した。

25日は、対ロシア経済制裁やウクライナ支援が主要議題で、同国のマルチェンコ財務相も参加。世界銀行の推計で今後10年間に約4860億ドル(約76兆円)必要とされるウクライナの復興資金に、経済制裁で凍結したロシアの資産を活用する方策を協議した。

既に発生している利子収入に加え、将来分の利子収入を担保にして債券を発行することで資金調達する米国の提案などを議論。6月のG7サミットに向けて進展を図る。

先進7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議の閉幕後、記者会見する鈴木俊一財務相=25日午後、イタリア・ストレーザ近郊

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