国の登録有形文化財になっている富山県魚津市の「東山円筒分水槽」では、今年も大きな目玉のような水槽からこんこんとあふれてくる雪解け水が周囲の田畑を潤しはじめた。

 「日本一美しい円筒分水槽」とも称され、流れ落ちる水の輝きや水音が、訪れた人々の心に癒やしの時間をもたらしている。

 市内を流れる片貝川左岸から水を引き、高低差を利用したサイホン水路を通して、直径9・12メートルの円筒部分からあふれ出る水を、三つの地区へ公平に分配するしくみだ。

 四季折々で水量は変化するが、田植えが始まる5月が「フル稼働」状態で、最も豊かに流れ落ちる。

 母と訪れていた黒部市の武隈真紀子さん(56)は「水を公平に分けるという先人の知恵を知り、改めて自然と人の心の豊かさを感じました」と水音に耳を傾けていた。(ライター・法野朱美)

【動画】日本一美しい円筒分水槽=法野朱美撮影

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