横浜市教育委員会が教員によるわいせつ事件の公判で職員を動員し、一般の人が傍聴できないようにしていた問題で、下田康晴教育長は22日、市議会のこども青少年・教育委員会で、市教委について「社会的な感覚がずれていて、先生をかばってしまうように見えてしまうと想像が至っていない」と指摘し、組織風土の改革に取り組む考えを明らかにした。

公判傍聴への職員の動員について説明する下田教育長=横浜市会議事堂で

◆弁護士交えて問題点整理へ

 下田教育長は、4月の就任後、今月15日に報告を受けるまで今回の事案を認識していなかったと釈明。弁護士を交えて法的な問題点を整理する意向を示した上で、個人的な見解として、裁判の公開原則を定める憲法との関係で「問題があったと思っている」と述べた。伊地知英弘副市長も「結果として一般の方の傍聴を妨害し、誠に申し訳なく思っている」と陳謝した。  下田教育長は「動員された人の中にも、おかしいと思った人ももちろんいると思う」として、職員への聞き取りを進めるとも語ったが、関係者の処分については明言を避けた。

◆19年度以降は事務的に継続か

 市教委は21日、2019年度から今年4月まで横浜地裁で開かれた計11回の公判に、延べ約500人の職員を業務として出張させていたと発表した。19年度当時の教育長と相談の上で対応方針を決めたが、それ以降は事務的に継続していたとしている。(神谷円香) 

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。