ぼんやりと考え事をしているときに、記憶や学習の機能を持つ脳の海馬と呼ばれる部分が活発に活動することが分かったと22日、大阪大などのチームが発表した。海馬の活動は記憶障害など多くの病気に関連していて、大阪大の岩田貴光さん(脳機能学)は「海馬の活動を変化させることができれば、病気の診断や治療への応用が期待できる」としている。

 チームは、てんかん治療のため、脳内の海馬に電極を付けている患者10人について、脳波を約10日間にわたって計測。脳波は睡眠時も含めて測り、起きている際には並行して「今考えていたことは、今行っていることに関連しているか」などの17項目のアンケートを1時間に1度実施した。

 その結果、患者が現在の行動と関係ないことを考えているときに、海馬で記憶の定着に関与する特徴的な脳波(SWR)が観測されることが分かった。

 認知症患者はSWRが減るなど、多くの精神神経疾患はSWRと関連があるとされている。SWRの制御が病気の診断や治療につながることが期待される。

 論文は英科学誌電子版に掲載された。

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