市民が刑事裁判に参加する裁判員制度の開始から21日で15年を迎える。今年2月までに裁判員9万2557人、体調不良時などに交代する補充裁判員3万1460人の計12万人超が参加した。厚生労働省によると、「裁判員休暇」の導入企業は5割にとどまり、より市民が参加しやすい環境づくりが課題となる。

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 裁判員制度は2009年5月、地裁で開かれる刑事裁判に市民感覚を反映させる目的で始まった。くじで選ばれた市民が裁判員となり、裁判官とともに被告は有罪か無罪か、有罪の場合はどんな刑罰を科すかを決める。2月までに裁かれた被告は1万6387人。最高裁の調べでは、性犯罪や児童虐待などの量刑が導入前より重い傾向が続いている。

 成人年齢の引き下げに伴い、昨年からは18、19歳も裁判員に選ばれるようになり、昨年は少なくとも26人が10代で裁判員を務めた。

 裁判員は原則辞退できないが、法令で辞退理由が定められている。候補者の名簿に載り、実際に裁判員に選任されるまでの間、複数回、辞退を申し立てる機会はある。

 すべての段階を通じて辞退が認められた理由で最も多いのは、「70歳以上・学生など」の39.3%(22年)だった。だが、最終的に裁判員に選任される当日に限れば、「事業での重要用務」が45.7%(同)でトップとなり、全体の半数を占める。当日まで仕事の調整をしたものの、都合がつかず、やむをえず辞退している状況がうかがわれる。

 企業1万社を対象に行った厚労省の委託調査(2月発表)では、裁判員休暇を「導入している」と答えた企業は50.4%にとどまった。逆に「導入しておらず、予定もない」とした企業は35.3%に上った。正社員5千人への調査では、47.2%が「裁判員特別休暇を設けてほしい」と求めていた。(遠藤隆史、森下裕介)

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