東京の下町に初夏の訪れを告げる浅草神社(東京都台東区)の三社祭は18日、中日を迎えた。初の試みとなる子供宮神輿(みこし)「子之宮(このみや)」渡御(とぎょ)が繰り広げられ、地元町会の小学4年生~中学3年生の40人が元気に神輿を担いだ。

◆父たちのように、浅草の伝統守りたい

 三社祭は新型コロナウイルス禍で規模の縮小を余儀なくされ、子どもたちが祭りに触れる機会は制限された。祭りの担い手を育成しようと、今回初めて「子之宮」に取り組んだ。  事前説明会で神社や祭りの歴史を教わった子どもたち。練習では恥ずかしそうだった「ワッショイ」の発声も、本番では腹の底から声を出した。そろいの緑色の半纏(はんてん)に身を包み、中型の神輿を揺らしながら境内を練り歩いた。

神輿を担ぐ中村悠志さん(手前中央左)と中村優成さん(同右)

 雷門中部町会の中学1年中村優成(ゆうせい)さん(12)と小学6年の中村悠志(ひさし)さん(11)は、父親が兄弟のいとこ同士。町会では、優成さんの父洋平さん(43)が青年部長、悠志さんの父高広さん(40)が副部長を務める。  優成さんは祭りの時に一番大きな声で地域をまとめる父に憧れて「生まれ育った浅草の伝統を守りたい」と参加した。「跡を継ぎたい」と優成さんが言うと、悠志さんも「一緒に青年部になりたい」と宣言。「一緒に担げて楽しかった」と笑顔だった。  浅草神社の土師(はじ)幸士宮司(50)は「祭りは単なるイベントではなく、街の歴史や由緒を学ぶまたとない機会。お祭りを通じて次の世代に伝統文化や習慣をつなぎ、参加した子供たちには浅草の町の次のリーダーになっていってほしい」と願った。(鈴木里奈) 

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。